<登場人物紹介>





<主人公>

紅坂 雅(こうさか みやび)
高校2年生
身長162センチ
体jy…ドカバキボコッ(作者殴られ

都村と浜崎の転校から非現実な日常がはじまった。
真紅の瞳になっている時の事は全く覚えていない。

体力C、知力C、判断力C、行動力C
刀「楓」の能力:涙を多量に吸う事で人を復活できる。代わりに壊れる。



<主人公(?)>

紅坂 茜(こうさか あかね)
身長・体重は紅坂と同じ

雅の中に居るもう一人の存在。

体力S、知力S、判断力S、行動力S
刀「鮮」の能力:伸縮自在の刀


<準主人公>

都村 瑠衣(つむら るい)
高校2年生
身長170センチ
体jy…((;゚Д゚)ガクガクブルブル(作者脅され中

雅のクラスに転校してくる。

体力B、知力A、判断力A、行動力A
刀「雫」の能力:使用者の血を吸えば吸うほど強力な武器になる



<準主人公(格上げ)>

浜崎 貝斗(はまさき かいと)
高校2年生
身長177センチ
体重59キロ

都村と同じく、雅のクラスに転校してきた男。
甘いルックスで同クラス女子に注目される。
第8話「正体と別れ」にて死亡。

体力B、知力D、判断力B、行動力B
刀「蝉丸」の能力:ダブルセイバー化。浜崎自身の能力「死を司る線」が見える。


<敵キャラ>

宮村瑠美(みやむら るみ)
身長164センチ
体重秘密

雅のクラスメート。そして過去の雅を知っている者。

刀「葬」の能力:使用者の周囲と範囲内に入った者の周囲で高速移動して攻撃。


<敵キャラ>

宮村臨魅(みやむら のぞみ)
身長等は瑠美と同じ

雅の過去を知っている者。瑠美の中に居るもう一人の存在。青眼の少女。


刀「神楽」の能力:大気中の粒子を刀に集め、修復する。



 

 

  

 

 

 

 

 

Face up to Unrealistic World

  

 

  

 

 

  

 

〜出会い〜

 

 

 

  

 

 

 

 

 雅「おっはよぉ〜!」

 いつも通り何気なくみんなと挨拶する雅。

  瑠美「おはよ〜。雅、今日も元気だねぇ〜。」
  雅「えへへ、まぁね〜。」

 今日もいつも通りの日がはじまろうとしていた。

  雅「昨日のアレ面白かったねぇ〜。」
  瑠美「そうね〜。・・・・あ、渡辺来たわよ。座らないと。」
  雅「ほんとだ。」

 渡辺とは、担任の先生である。

  渡辺「おはよう、みんな。実は、今日から新たにこの2年4組に入ってくる友達を紹介するぞ。入っていいぞ。」

 渡辺がそう言うと、教室の入り口の扉から男女1人ずつが入ってきた。男のほうは、短髪で背が高く、ルックスもいい。女のほうは、長髪で背はまぁまぁ、大和撫子風である。しかし、女のほうは鞄だけでなく、大きい布を持っていた。

  渡辺「さ、2人とも、自己紹介よろしく。」

 男のほうが一歩前に出る。

  男「浜崎貝斗です。家の都合により、この高校に編入する事になりました。わからない事だらけですが、よろしくお願いします。」

 みんなに一礼すると、今度は女のほうが一歩前に出た。

  女「都村瑠衣・・・・よろしくお願いします。」

 その時、雅は妙な違和感を感じた。

  渡辺「じゃあ君達の席は、浜崎は廊下側の一番後ろの隅。都村は窓側の一番後ろの隅な。」

 浜崎と都村は席に座る。

  瑠美「雅、結構カッコいいよね、浜崎君って。」
  雅「そうだね〜。」
  瑠美「狙っちゃおうかなぁ・・・。」
  雅「あはは。頑張れ〜。」

 1時間目が終わり、休憩時間。雅の予想通り、浜崎の周りには女子が集まっている。反対に、都村はテラスに出て1人外を眺めている。

  雅「にぎやかなの、あんまり好きじゃないのかな?」

 雅は都村に話し掛ける。都村は雅のほうを見る。

  雅「あ、私、紅坂雅。よろしくね。」
  都村「・・・・・よろしく。」
  雅「あの・・・・その布の中って何?・・・あ、言いたくないなら言わなくていいよ。」
  都村「・・・・・ごめんなさい。」
  雅「・・・謝る必要ないよ。都村さんにとって大切な物なんだもんね。あ、学校のこととかわからなかったらどんどん聞いてね。」
  都村「はい・・・。」
  雅「それじゃ。」

 雅は教室に戻った。都村をもう一度見てみると、またもテラスで空を見上げている。

  瑠美「どうだった?」
  雅「う〜ん・・・・まだよくわかんない。かなり物静かだったよ。そっちは?」
  瑠美「結構物知りだし、頭も良いしルックスもいい。いいとこだらけ。マジで狙おうかなぁ〜。」
  雅「ふ〜ん・・・。」
  瑠美「雅は?」
  雅「え?私?・・・別にいいよ〜。興味ないから〜。」

 その時、授業が始まるチャイムが鳴った。

  雅「席に座ろうか。」
  瑠美「そうだね。」

 いつも通りの授業が始まった。

 放課後になり、帰宅途中のことだった。

  雅「あ、そうだ。お母さんに頼まれた買い物あったんだ。」

 雅は思い出してスーパーに寄った。頼まれたとおりの品を一通りカゴに入れ、レジに向かう途中だった。何気に外を見ると、

  雅「あれ・・・・確か都村さん・・・?」

 レジで会計を済ませ、荷物を持って外に出ると、ひときわ大きい布を持った女性が大通りのほうへ歩いていく。雅も後をついていく。その布自体は普通なのだが、大きさがかなり大きいので、道行く人々は都村を見てしまう。ちょっと歩いた所で、いきなり狭い路地に入った。雅は慌てて追いかける。狭い路地に入ったところで、首筋に冷たい感触がした。

  雅「ひっ!!」
  都村「・・・紅坂さん!」

 都村は慌てて紅坂の首筋に当てている物に布をかぶせた。紅坂は、驚きでその場でしりもちをついた。

  雅「・・・・・・。」
  都村「ごめんなさい・・・・大丈夫?・・」
  雅「え・・・あ、うん。大丈夫。それより、私が後をつけてたのわかったの?」
  都村「・・・・誰かがつけてるなと思ったけど・・・・紅坂さんだったなんて・・。」
  雅「ごめんね・・・都村さんを見かけたからどこ行くのかなと思って・・・。」
  都村「私の家・・・こっちだから・・・。」
  雅「あ、そうなんだ。それじゃあ、私も帰るよ。・・・ごめんね。」

 雅は都村に背を向けて帰ろうとする。するとその時、

  都村「あの・・・・」
  雅「え?」
  都村「なんで・・・・そんなに私と関わろうとしているんですか?」
  雅「ん〜・・・・そういやなんでだろ。あはは・・・・私も理由はわかんない。けど、テラスで一人でいた時に寂しそうに見えたからかな・・・。」
  都村「寂しそう・・・・そうですか。」
  雅「あはは。私って前から変な事に首を突っ込む事が良くあるんだ。だからさ、ついつい・・・。」

 都村はこれ以上何も言いそうではなかったので立ち去る雅。家に帰り、母親に頼まれてしてきた物を渡し自分の部屋に入る。雅はそのままベッドに横たわった。

  雅「都村さん・・・・か。」

 雅の中で何かが引っかかっていた。自分の運命を左右するような何か・・・・・が。

  

 

 

 

 

〜戦闘〜

 

 

 

 

  

 翌朝、いつも通りに登校するはずだった……が。 

  雅「……ぁー、9℃もあるよ…。休も…。」

 風邪を引いてダウンしたからだ。学校に連絡を入れて、ベッドで横になる。

  雅「ぁーぅー……ヒマだぁ……。」

 特にTVも面白くなかった。

  雅「…寝よ。」

 

 ピンポーン。家のチャイムの音で雅は目を覚ました。時刻は午後4時過ぎ。

  雅「ぁぅー…誰だろ…。はいはーい。」

 玄関に行き、ドアを開ける。すると、

  留美「よぅ。熱大丈夫〜?心配だから来てやったよ〜。それと、差し入れ。」
  雅「ぉ〜、ありがとう〜。あがっていいよ〜。」
  留美「あ、あともう1人来てるよ。」
  雅「ふぇ?もう1人?」

 留美が手招きすると、

  都村「あ……こんにちわ。……大丈夫?」
  雅「あ、都村さん。うん、結構大丈夫かも〜。」
  留美「私が見舞いに行く、って言ったらついていきたいって言ってくれたから、連れてきた。」
  雅「あはは。まぁ、あがってよ〜。」

 二人を自分の部屋に招く。学校の話を聞いたあと、

  留美「あ、私はそろそろ帰るわ。都村さんはどーするの?」
  都村「…もうちょっと話してから……。」
  留美「OK。みんな、また明日〜。」
  雅「あーぃ。留美、また明日ね〜。」
  都村「……また明日。」

 留美が帰った後、部屋の中は静まり返った。 

  都村「……あの、ちょっと聞きたい事が…。」
  雅「え、うん。何〜?」
  都村「…昨日の事だけど…。」

 昨日と言えば……。

  雅「え、あの……。」
  都村「正直に答えて。……見たの?」
  雅「………。」 

 無言でうなずく。そう、路地裏で首筋に当てられる前に、実は男らしき人が血まみれで倒れているのを見ていた…。

  都村「……やっぱりね。…今から教えることは内緒ね…。」
  雅「ぇ……うん。」
  都村「とりあえず……私が持ってるコレを見せないと……。」

 都村はそう言い、片方の大きな布を取り外した。やけに長い刀だった。

  都村「…ただの居合刀だけど……使ってみて。」
  雅「……へ!?私が!?」
  都村「……えぇ、私の役目はあなたにコレを渡す事……。」
  雅「え、でも……」

 口ごもる雅。

  雅「今の時代、刀なんて……。」
  都村「……きっと必要になる。……見てしまったのなら。」
  雅「え……?」

 呆然としてる雅を無視して話を続ける。

  都村「…アレは通常の人間では見えないから。私は……普通の人間じゃないから見れるのだけれど。私の目的は、人間に化け日々過ごしている魔物を倒す事。そして、貴方にアレが見えてしまったのなら、当然、貴方にも被害は及ぶ……。貴方の護身用、と思ってくれればいいから………」

 その時、都村が外を見た。

  都村「どうやら……お喋りはここまでみたい………。」
  雅「……?」

 そう言うと、都村は雅を抱きかかえ、窓から飛び出す。

  雅「うわっ!?ちょ、ちょっと!?」
  都村「追手が来てる……広い所に行く…。」

 家々の屋根を飛び回り、都村は広い敷地に降り立ち雅をおろす。人を一人と刀2本を持って、軽々と飛び回り、息切れをしていない都村。都村が言っていた追っ手も、追い付いて来た。

  雅「…アレが追手?」
  都村「……。」

 都村は何も言わず、ゆっくりと首を縦に振った。外見は普通の男の子。都村は無言で居合刀を雅に渡し、自分の刀を抜いた。都村の刀身には何やら模様が合った。その時、追手の身体が変化し、2M弱の化物と化した。

  雅「え……。」

 目の前の出来事に、ただうろたえていた雅。

  都村「アレが正体…貴方は…これからの事を……よく見ていて。」

 都村は、自分の刀で自分の指を軽く切った。指から血が滴る。そして、その血を刀に付け、

  都村「目覚めよ……雫………」

 都村の言葉と共に、刀が真っ赤になり、形状が変化した。刀がぎざぎざの形状になった。その時、化物が都村に襲い掛かった。化物は見た目とは裏腹に、とても俊敏で、あっという間に都村との距離が無くなった。化物は右手を都村に向かって振り下ろす。都村はそれを難なくかわし、化物の右手に刃を食い込ませる。

  化物「グオォォッ!」
  都村「………。」

 都村は鋸を使う感覚で刀をひいた。ぎざぎざの形状の効果で、化物の右手の同じ箇所に何回も刃が当たる。刀が化物の右手から離れた時、その化物の右手は地面にボトリと落ちた。化物は、痛みで苦しんでいるようだった。化物は、雅の方を向いた。雅も、化物と目が合った。

  雅「え………」

 化物は、雅の方に向かって駆け出した。あまりにも速く、雅が反応した時には、すでに化物は目の前で左手を振りかぶっていた。

  雅「っ……」

 その時、雅の身体が自然に動いた。持っていた刀を構え、右腕を素早く水平に動かした。

 

 ヒュッ、と言う空気を切る音がして、化物の身体は上半身と下半身の真っ二つになった。無意識に、刀を抜き、化物を斬っていた。そして、化物の返り血を思い切り浴びた雅。

  雅「ふふっ……」

 雅の瞳が、いつの間にか黒から真紅になっていた。まるで、返り血を浴びるのを楽しむかのように……雅は笑った。雅は都村に向き直った。都村は、その雅に恐怖心を覚えた。

  雅「化物は……?」

 雅の瞳が黒に戻っていた。化物を斬った時の記憶が無かったように雅は言った。

  都村「…貴方が倒したのよ……どうやら、その刀は貴方が気に入ったみたい…」
  雅「え…?」
  都村「その刀の名は……「楓」…。貴方の刀……貴方にしか扱えない刀……。」
  雅「楓……」

 雅は都村に「楓」と呼ばれた刀を見直した。鞘から抜いても、別段、何も変わった感じはしない。

  都村「…もう、貴方も日常に戻れない……。倒すのに……協力して欲しい…。」
  雅「でも……」
  都村「貴方に拒否権は無いわ……貴方の親、親友にも、魔の手は伸びるのだから……」
  雅「うん……どうすればいいの…?」
  都村「…とりあえず、今日はもう来ないだろうから……休養を…。それと……」
  雅「それと?」
  都村「もう、その刀を常に持ち歩く事……。一般の人には刀とは見えないから……でも、化物には見えるから、布で隠しておいて……」
  雅「うん…」
  都村「…また明日……学校で。」

 都村はその場を立ち去った。

  雅「……返り血、どうしよう…」

 雅はその場で呆然と立ち尽くした。

 

 

〜暴走〜

 

 

 結局、あの後すぐに化物の血は風化して跡形も残らなかった。雅は今日起こった事をベッドの上で考えていた。

  雅「化物…刀…倒す……。何が何だかわからないや……。」

 今が現実なのか、夢世界なのか。

  雅「……でも、この刀………」

 刀を手に取り、鞘から少し抜く。特に変わった事も無い、ただ普通の居合刀。鞘に戻し、刀をいつでも手が届く所に置き、それ以上考えるのも嫌になってくるので眠りについた。

 

 

 翌日、都村に言われた通り、布を被せ刀を持ち歩く。案の定、誰も気付かなかった。

  雅「おはよ、都村さん。」
  都村「おはよう…。」

 教室で座っていた都村さんに話しかける。

  都村「よく…眠れた…?」
  雅「うぅん……どうだろ…あ、都村さん。」
  都村「……?」
  雅「布って、人に見えるの?」
  都村「いいえ、布自体も常人には見えないわ……。」
  雅「そっか……。ありがと。」

 雅は自分の席に座った。窓の外をぼーっと見ながら、授業が始まっていった。

 

 

 昼休憩になり、屋上に上がる。

  雅「……あれ?」

 今日は良い天気で暖かいのに、屋上には誰も居なかった。

  雅「ま、いっか。」

 屋上に座り込み、弁当を広げようとした時、雅は違和感を感じた。

  雅「……なんだろ…」

 辺りを見回すと、誰も居なかった。

  雅「気のせいか…」

 視線を前に戻したその時

  雅「!?」

 慌てて刀を持った。目の前に、男の子が居たからだ。男の子は、俯いたままだった。

  雅「いつの間に……」
  男「………」
  雅「…何か?」
  男「……」

 雰囲気が怪しい。雅は刀を持ち、後ろに跳んだ。その時、今まで雅が居た場所に見えない何かが上から降ってきて地面が窪んだ。雅は刀を持ち直し、身構える。

  雅「何……君は?」
  男「ふふっ……よく避けれたねぇ…」

 男は顔を上げた。顔色は真っ青。目は虚ろ。まるで死人が動いているようだった。

  都村「紅坂さん!」

 階段から都村が駆け上がってきた。異変に気付いたらしい。

  雅「都村さん。」
  都村「……厄介ね。」

 都村はぼそっと呟いた。

  雅「……?」
  都村「貴方には……アレは見えてないでしょう…」
  雅「アレ……?」

 都村が指差す方向を見る。が、何も雅には見えない。

  雅「…?」
  都村「いいわ……私だけでやるから…」

 都村は刀を抜き、軽く指を切る。刀に血を垂らし、

  都村「目覚めよ……雫………」

 都村の刀が真っ赤に染まり、形状がぎざぎざに変化した。  

  都村「…もしもの事を言っておく……」

 戦闘を始める前に、都村が言った。

  都村「貴方の刀……「楓」は……貴方が危険になった時だけ真の力を発揮する……私のような…血を使って力を発揮するタイプじゃないの……そして…「楓」の意思に負けると…人格が呑み込まれる…。」
  雅「う、うん……」

 都村はそれだけを言い、男に向き直る。男は特に動きもせず、ただじっとしていた。

  都村「……」

 都村は無言で男に駆け出した。男は全く微動だにしない。都村は男の前まで駆け、男の身体に向かって刀を水平に振った……はずだった。都村の刀は空を切り、男は空中に高く跳びあがっていた。

  男「ケケッ!甘いぜぇ?」

 男はそのまま都村に襲い掛かる。都村に向かい右腕を振る男。都村はそれを刀で受け止めた……はずだった。

  雅「えっ!?」

 男の右腕は刀に防がれた。が、都村の左肩の辺りから血が迸った。男はバク転しながら距離を置く。

  都村「くっ……」
  男「へっ!こんなもんかね。」

 都村は片膝を地面に付けた。男は遠くでせせら笑っている。

  都村「……ふんっ…」

 都村は傷を気にせず、男に立ち向かう。

  男「無理無理、ケケッ。」

 都村は駆け出そうとした。……が、足が動かない。

  都村「……麻酔、か。」
  男「ご名答。んじゃ、そこのお嬢ちゃんから始末しちゃいますか。」

 男は雅の方へ向き直る。

  都村「ま、待てっ…」
  男「後でしてやるよ。」

 男は雅の方に少しずつ歩み寄る。雅は刀を構える。男が雅の間合いに入った瞬間、雅は刀を抜いた。ヒュッと言う空気を切る音がした。が、それは文字通り空を切った。そして、男は雅の刀の上で立っていた。

  雅「くっ……。」
  男「なんだぁ、ハエより遅いぜ?」

 男の右腕が雅の腹を捉えた。雅は倒れ込み、苦しむ。

  雅「げほげほっ……」
  男「楽だなぁ、こりゃ。」

 男が何かをしようとしたその時、雅は立ち上がり、距離を置いた。

  男「ありゃ…雰囲気変わってないかい?」

 雅の瞳が真紅に染まっていた。雅は身構える。

  男「おいおい、アンタの刀はここよ?」

 男は雅が持っていた刀を指差した。刀は男の足元にあった。

  雅「………」
  男「ま、いっか。それじゃすぐに……」

 仕留めようかね、と男が言う前に、雅は居合いの動作を起こした。雅の右手が空を切る。そして、男の左腕がぼとりと言う音を立て地面に落ちた。

  男「え……俺の手が…」
  雅「ふふっ……あはは……あはははっ!……私を殺す?……冗談も大概にしなっ!」

 雅は狂ったように笑った。まるで男を殺す事を楽しむかのように。男は近づこうとするが、雅は男が動く前に右手で空を切り、男の右足を切断した。

  男「ど、どうして!?」
  雅「そんなチンケな針で私を倒そうなんて早すぎるんだよ。」

 男も不安を隠せない。先程まで雅に見えなかった物が今は見えているようだ。雅は笑みを浮かべたまま、2回右手で空を切った。今度は男の左足を細切れにした。男の胴体には、右腕と頭しか繋がっていなかった。雅は笑みを浮かべながら男に近づき、刀を手に取ってから男を上から見る。 

  雅「ホント、楽だねぇ……アンタみたいな弱い奴は」
  男「ひ、ひぃぃ…。」

 男の顔に恐怖が走る。都村は未だ動けず、その光景を見るしかなかった。雅は刀をゆっくり男の右腕に近づけた。

  雅「ほらほら…ふふっ…。」

 雅は刀を振り、男の右腕を切断した。男は声にならない悲鳴を上げる。返り血を多量に浴び、更に笑みがこぼれる。

  雅「あははっ!ほら、泣け、叫べ、命乞いしてみろ…」
  男「や、やめっ…。」

 男は必死で助けを扱いた。雅は、男の耳を削ぎ、目をくりぬき、鼻を切断した。

  雅「あははっ!それじゃ、飽きたし……。」

 雅は男の首を斬り止めを刺した。都村はその光景を直視できなかった。男が死に、都村は動けるようになった。立ち上がり、都村は雅に話しかけた。

  都村「紅坂……さん…?」
  雅「……あぁ?」

 未だ真紅の瞳のままの雅。都村の方を向き、刀を構える。

  都村「なっ!?」
  雅「お前も……死にたいか…?」

 もはや雅には敵味方の区別ができていなかった。

  都村「…紅坂さんの精神が「楓」に支配された……?」
  雅「…死にたいのか。」

 雅は刀を抜いた。反射的に都村は刀を抜き、雅の攻撃を刀で防いだ。が、都村は雅の力に耐え切れず、後方に吹き飛んだ。

  都村「くっ……」
  雅「…ほぅ…防ぐか……面白い。」

 雅が構え、刀を抜こうとしたその時………

 

 

 

〜意外な展開〜

 

 

 

  男「何やってんの?」

 後ろから男子生徒の声が聞こえた。

  都村「浜崎君……」
  浜崎「何、真剣な顔してんの?」
  雅「………うん?」

 浜崎の声でかは分からない。雅の瞳が黒に戻った。

  都村「いいえ……気のせいだと…」
  浜崎「そっか。なら、いいや。」
  雅「浜崎君。何しに来たの?」
  浜崎「ん……まぁ、屋上に来たかっただけさ。」

 浜崎は都村に近づき、都村の耳元で雅に聞こえないように言った。

  浜崎「……予想以上に危険だな…。」
  都村「えぇ…お陰で…助かった……。」
  浜崎「別にいいぜ。……でも、あんま無茶すると…な。」
  都村「……えぇ…。」

 その二人のやり取りは聞こえていなかった雅。

  雅「あれ、二人とも仲良いの?」
  浜崎「俺は誰とでも仲良いつもりさ。」
  都村「……どうだろ……。」
  浜崎「んじゃ、俺は教室に戻るかな。次移動だから早くしたほうが良いぜ〜?」

 浜崎は屋上から降りていった。雅は都村に近寄り、

  雅「……化物…また私……が?」
  都村「えぇ。……ただ…」

 都村は俯く。雅が行った行為を思い出し、体が震えそうになる。

  雅「…ただ?」
  都村「……うぅん、なんでもない…。」
  雅「?」

 顔に疑問符を浮かべながら、都村をじっと見る雅。

  都村「…移動だから……行こっか…。」
  雅「あ……そうだね。もうこんな時間なんだ。」

 時計を見ると、あと10分で次の授業が始まる時間になっていた。雅と都村は教室に戻り、次の教室へ向かった。

 

 

 放課後、雅は一人で帰った。一人歩いていると、

  浜崎「あれ、一人なんだ。」
  雅「あ、浜崎君。」

 浜崎に後ろから声をかけられた。そのまま一緒に歩く。

  浜崎「大変だな。でかい刀だと。」
  雅「!?」

 雅は瞬間的に身構える。

  浜崎「っとと、待てって。敵じゃねぇよ。」
  雅「……本当?」
  浜崎「あぁ……俺も持ってるよ。」

 雅は浜崎を見るが何処にも布も刀も持っているように見えない。

  雅「…どこに?」
  浜崎「んーと……あ、コレだ。」

 浜崎がポケットから取り出したのは四角い物。浜崎が軽く押すと、片方から刃物が出てきた。

  雅「……ナイフ?」
  浜崎「あぁ。俺だけ刀じゃねーんだとよ。」

 ははっ、と笑う浜崎。

  浜崎「まぁ、俺は特殊らしいから、みたいだけどな。」
  雅「特殊……?」
  浜崎「ま、その辺はコイツ等で見せてやるよ……。」

 雅は視線を前に向けると、2M程度の化物が2体居た。

  雅「また……。」
  浜崎「この程度なら、一人でやんよ。」

 浜崎は雅を押し退け前に出た。ナイフを逆手に持ちながら突進し、化物に突き刺す。

  浜崎「一体目……」

 ナイフを抜き、独り言のように言った。ナイフを刺された化物は、次第に消滅していった。もう一体は狙いを雅に変えて駆け出す。

  浜崎「……だろうと思った。」

 予想していたのかすでに浜崎は雅の前に立ち、化物を迎え撃つ。化物の左腕の攻撃を難なくかわし、ナイフを突き刺す。化物は消滅していった。2匹の化物はあっという間に浜崎の手によって消滅させられた。

  浜崎「…な?…特殊だろ。」
  雅「………。」

 雅は呆然とその光景を見ていた。

  浜崎「あれ?…ははぁん、さては惚れたな?」
  雅「……それは無いよ。」
  浜崎「それはほっといて……アンタも特殊だな。」
  雅「…私…が?」
  浜崎「あら…覚えてないん?」

 雅は首を傾げた。

  浜崎「……俺は見てたんだけどさ。」
  雅「うん…。」
  浜崎「…これ言うの……躊躇うなぁ…。」

 浜崎は頭を軽く掻く。

  雅「……良いよ、言って。」
  浜崎「……言うけど、コレ、本当の事だからな。」
  雅「うん……。」

 浜崎は少し躊躇って口にした。

  浜崎「屋上で、まず、アンタが殴られて倒れた。」
  雅「うん、そこは覚えてる。」
  浜崎「で、その後立ち上がり距離を置いた。」
  雅「………もう覚えてないよ…。」
  浜崎「だろうな。瞳が真紅に染まってたしな。」
  雅「え……」
  浜崎「質問は後。で、まぁ………んっと。とにかく、敵をバラバラにして、それを見て楽しそうに笑ってたよ。」
  雅「…………」
  浜崎「流石に俺も震えたね……あんな残酷なの見た事無いし…。んで、その後都村に襲いかかろうとしてたから…」
  雅「え…都村さん……に?」
  浜崎「あぁ、んで俺が出たらアンタが普通に戻った、ってわけ。まぁ、こんな所かな。」

 雅はその場で俯いた。

  雅「瞳が真紅に染まる……って?」
  浜崎「あぁ……都村が言うには、刀の精神に勝てず身体が支配されてる証なんだってよ。」
  雅「そっか……。」
  浜崎「まぁ、まだ使い慣れてないと支配されやすい。俺も前はそうだったしな。」
  雅「そうなんだ……。」
  浜崎「手っ取り速く、アンタには使い慣れてもらわんと困るね…。」

 浜崎は呟くように言った。

  雅「……どうすれば…?」
  浜崎「簡単さ…家、来いよ。」
  雅「………ふぇっ!?」

 突然の言葉に素っ頓狂な声をあげる雅。

  浜崎「ははっ……面白い声出したな。」
  雅「な、なんで…浜崎君家に…」
  浜崎「まぁ、気にすんなって。都村も居るし。」
  雅「えぇっ!?……同棲?」
  浜崎「ぶっ!いやいや…まぁ、同じ家に住んでる事には変わり無いか。……ちなみに、都村が呼ぶように言ったからな。」
  雅「ほぇ……。」
  浜崎「ま、付いて来いよ。」

 浜崎の後ろをちょこちょこと付いて行く雅。

 

 

 

〜能力査定・深まる謎〜

 

 

 

  

 少しして、浜崎の足が止まった。雅もつられて止まる。

  浜崎「着いたぜ。」

 浜崎の視線の前にある家。ごく普通の一軒家だった。二人は家に入っていく。

  雅「案外…普通だね…。」
  浜崎「ま、そんなもんだろ。都村ー、連れて来たぜ。」

 奥の方から、制服に割烹着を着た都村がやってきた。

  都村「いらっしゃい。とりあえず、晩御飯…出来てるよ。」
  浜崎「んじゃ、食うかね。」 

 浜崎は奥の方へ行った。雅はその場でぼーっとしている。

  都村「ほら、紅坂さんも……。それと、今日は泊まって。」
  雅「ふぇ!?」
  都村「親には連絡入れてあるわ…。」
  雅「う、うん…。」

 雅は都村の家にあがり、都村の後について行く。居間には、晩御飯が3人分並べてあった。浜崎はすでに食べ始めていた。

  都村「それじゃ、いただきます。」
  雅「うん……。」

 都村が作った晩御飯はとても美味しく、すぐに皆食べ終わった。

  雅「ご馳走様でした。」
  都村「お粗末さまでした。」
  浜崎「ふぃー、食った食った。ご馳走さん。」

 都村は皿を片付けに行った。雅はぼーっとしていると、浜崎が小声で話しかけてきた。

  浜崎「料理、上手いよな。」
  雅「そーだね。すっごく美味しかった。」
  浜崎「それにさ……あの皿洗う所。可愛くて、後ろから……」

 浜崎が続きを言おうとした時、

  都村「貝斗……その続きは何かしら…。」

 刀を手に取り、都村は言った。

  浜崎「う……いや、なんでもない…。」
  都村「そう…なら、初めから言わない事ね。」  

 刀を立て掛け、皿洗いを続けた。

  浜崎「あぶね……。聞こえたんか…。」
  雅「あはは。」

 皿を片付け終えた都村がやってきた。

  雅「あ、そーだ。都村さん。…私を呼んだって?」
  都村「ちょっと……気になる事あって…。付いて来て。」
  浜崎「あぁ、アレするんか。」

 都村は浜崎の言葉にこくりと首を縦に振った。都村は雅と浜崎を連れ、1階の和室に着いた。

  雅「ただの和室…?」
  都村「いいえ…」

 都村は柱に隠れていたスイッチを押した。すると、1枚の畳が消え、階段があった。都村はそれを降りて行く。慌てて雅も追い、浜崎はゆっくりと降りていった。しばらく降りると、何やらコンピュータ制御の部屋と、トレーニング場みたいな場所に着いた。

  都村「紅坂さんの……能力を知りたいの。」
  雅「…能力?」
  浜崎「まぁ、紅坂の身体能力と刀の能力を調べるって事。」
  雅「ふぇ……。」
  都村「とりあえず、紅坂さんはトレーニング場に降りて。私はここから説明します。」

 雅は刀を持ちトレーニング場に着く。

  都村「では、説明します。幻影の敵を2体出すので、それを倒せば結構。その結果で身体能力と刀の能力が調べれるわ。ただし、幻影と言っても、ちゃんとダメージはあるから気をつけて。」
  雅「ほぇー…。」
  浜崎「ちなみに、身体能力は体力、知力、判断力、行動力。刀の能力は…まぁ、そのまんまか。」
  都村「それでは……開始。」

 雅は刀を構えた。雅の前に、2体の幻影が現れた。1体は身長は同じくらい。1体は2M半はあろうかと言う長身。長身の幻影が、雅に襲い掛かる。雅は後ろに下がり、長身の幻影が手にしていた斧の攻撃を避けた。斧は地面にささり、地面が割れた。

  雅「ひぇ……アレって当たったら死ぬ…?」
  都村「さぁ…?」
  雅「むーっ……。」

 長身の幻影は斧を再び雅に向かって振り下ろした。雅はその攻撃をかわし、刀を抜いた。雅の刀は長身の幻影の身体を捉え、長身の幻影は消え去った。

  雅「あと1体…。」

 同じ位の幻影と睨み合う。が、一向に動く気配が無い。雅は少しずつ、距離を縮めて行った。射程内に入った瞬間、雅は刀を抜いた。キィン、と言う金属音が響いた。幻影も刀を抜き、雅の刀に当てたからだ。幻影の刀は雅と全く同じ形をしていた。

  雅「え……」
  浜崎「……コピーか。」
  都村「えぇ…過去のデータを使って…紅坂さんをコピーしてみたの…。」

 幻影の身体が徐々にはっきりとしていく。幻影は、紅坂そっくりだった。瞳は真紅だった。幻影の雅は、続け様に刀を抜く。雅はそれに反応し、刀で受けたが、左腕に1撃食らった。切り口がすぱっと切れ、血が滴る。

  浜崎「おい、下手すると死ぬんじゃないか?」
  都村「えぇ……死ぬわ。」
  浜崎「止めないと…。」
  都村「データを見ると……彼女の危機の時のみ発動する……その状況を作ってあの刀の…本質を知りたいの…。」

 雅は血を見て怯えた。このままじゃ死ぬんじゃないか…と。そんな考えを知らない幻影の雅は続け様に刀を抜く。雅は少し距離を置いた。幻影の雅は追ってこない。幻影の雅は刀をしまい、構える動作をした。右手に何も持たず、幻影の雅は右手で空を切った。雅は反応したが、左足に切り口が出来、血が滴った。幻影の雅は続けて右手で空を切った。雅はその場に立ち尽くしていた。が、次の瞬間、雅も右手で空を切る。雅と幻影の雅の丁度中間の所で、空気のうずが出来た。

  雅「……真似か。」

 真紅の瞳をした雅がそこに居た。幻影の雅は右手で空を切ろうとした。が、その前に雅が幻影の右手を切り落とした。

  雅「不愉快…だ。」

 雅は幻影の雅とあっという間に距離を縮めた。幻影の雅が反応する前に、雅は刀を抜き幻影の雅を切り刻んだ。幻影の雅はバラバラになり、消えた。

  浜崎「…何回斬った?」
  都村「……見えなかった…。」

 あっという間に幻影の雅が細切れにされた。浜崎と都村は雅が何回斬ったかわからなかった。

  雅「17回……。」

 雅はぽつりと呟き、真紅の瞳が黒の瞳に戻った。

  雅「あれ……どしたの?」

 雅の声で我に返る二人。

  都村「……あ、いいえ。なんでもないわ。それじゃ、結果出すからこっちに来て。」

 雅は都村と浜崎の元に着いて、結果を聞いた。

  都村「各ランク付けされてます。最高がS。以下、A、B、C、D、E、F。」
  雅「ふむふむ…。」
  浜崎「ちなみに、俺は体力B、知力D、判断力B、行動力A。刀……ナイフの能力は…まぁ、まだ秘密って事で。」
  都村「私は、体力B、知力A、判断力A、行動力A。刀の能力は使用者の血を吸えば吸うほど強くなる、かな。」
  雅「ふぇー……。」
  都村「では、紅坂さんの結果は……2種類あります。」
  雅「え、なんで2種類?」

 きょとんとする雅。それを無視して、話を続ける。

  都村「今の紅坂さんと……真紅の瞳の紅坂さんの能力…だから。」
  雅「ふぇ……。」
  都村「今の紅坂さんは、体力C、知力C、判断力C、行動力C。刀の能力無し。……それで、真紅の瞳の紅坂さんは……。」
  浜崎「……どーなんだ?」

 少し言い辛そうな都村。

  都村「体力S、知力S、判断力S、行動力S……。こんな人居るはず無いのに……。」
  雅「……。」
  浜崎「……それで、「楓」の能力わかったのか?」

 都村は俯いて首を横に振った。

  雅「そっか……。」
  都村「「楓」が……発動してないの。」
  浜崎「…え?」
  都村「……「楓」の能力は全く解らない…。解ったのは、真紅の瞳の紅坂さんは「楓」に支配されていない事だけ…。」

 流石に落胆の色を隠せない都村。

  浜崎「ま、まぁ…いつか解るって。紅坂、疲れたろ。戻って寝よっか。」
  雅「うん……くたくた……。」

 浜崎は雅を連れて階段を上る。浜崎が用意してくれた部屋で、雅は布団に入った。

  浜崎「んじゃ、おやすみ。」
  雅「うん…おやすみ。」

 浜崎は部屋から出て行った。

  雅「真紅の瞳の私……。」

 雅はぽつりと呟き、眠りに就いた。

  

  

 

〜暗い過去〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 眼前に広がる夥しい鮮血。転がる肉片。逃げ惑う人々。長い刀を持った一人の少女がそれを追い、次々に肉片と化す。銃を持った人々がその少女にめがけて次々と発砲するが、少女はそれを避け、弾き、そして銃を持った人々を次々と切り刻む。肉片を見回し、血を手に取り、満足気な少女は妖しげに笑い声を上げる。

  少女「うふふ…あはははっ……」

 笑い、そして次の獲物を探し駆ける。そして、反対側にもう一人少女が居た。その少女は、殺戮を楽しむ少女を止めようとしている。その少女達の瞳は………。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

  雅「うぁっ!?」

 大量の汗を掻き布団から飛び起きる雅。夢か…覚えてないけど…嫌な夢だったんだろうな……。その声を聞いてか、廊下がどたばたと音がして、部屋をノックする音がした。

  浜崎「どうした、紅坂?」
  雅「え……うぅん、なんでもない……。」
  浜崎「そっか。今日、学校休みだってよ。」
  雅「ふぇ?……なんで?」
  浜崎「……殺戮…。」

 ドア越しで、ぼそっと浜崎は呟いた。それを聞き、雅はドアを開ける。

  雅「どういう……こと…?」
  浜崎「居間でテレビでやってる…都村も見てるよ。」

 雅は急いで居間に向かった。居間では都村がテレビを見ていた。雅もテレビに目を移した。

  アナウンサー「昨晩、商店街前大通りで殺人事件が起きました。被害者の確認は出来ていません。現場は生々しく、テレビを通じてお伝えする事ができません…」
  都村「……彼女の…仕業か…」

 ぼそりと都村は呟いた。

  雅「彼女……って?」
  都村「……青眼の…彼女…。」
  浜崎「名前はわかってる。……宮村臨魅……。武器は…当時は長刀だった…。」
  雅「…当時…?」
  都村「それは……私と貝斗は過去に……臨魅に会ってるから…。」

 目を伏せて、都村は言った。

  都村「あの時……今みたいな事件起きたの。あの日は雨だった……。」 

 都村は窓の外を見ながら話す。

  都村「目の前で起きた光景は……悲惨だった…。彼女は次々と人を襲い……殺し……。」
  浜崎「俺も都村も……その光景を見ていた……。姓は違えど…俺達は姉弟…だからな。」
  都村「あの時……目の前で私達の両親は……肉片と化した…。」
  浜崎「かなりの間……俺達は話せなかった…思い出すのはその事ばかり……。その後、俺達は別々の親戚に預けられ、やっと再会できた。そして……」
  都村「貴方を……見つけたの…。知ってるはず……貴方も……その場に居たのだから……。」

 都村と浜崎は雅を見る。

  雅「私は……知らないよ……。」

 二人から目を背ける雅。

  浜崎「…今は思い出せなくても……近い未来に思いだすよ。」
  都村「えぇ……彼女が動いたのなら…すぐ…。」

 

 その後朝食を食べ、雅達は殺戮のあった場所へと足を運んだ。

 

 

 

  

 

 

〜記憶の渦〜

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 その場所に近づくにつれ、徐々に人が少なくなっていった。現場に着くと、警察官等の姿も無かった。あれだけの騒ぎになっているのに、なぜ誰も居ないのか。

  雅「うっ……」

 思わず目を背ける雅。辺りは血痕ばかりだった。肉片も残っている。そして、腐敗臭が漂う。その時、雅の頭に激痛が走った。あまりの痛みに雅はその場に倒れ込む。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  雅「んんっ……」

 雅が気付くと、辺りは真っ暗だった。そして、正面に姿形変わらない女の子が立っていた。

  女の子「久し振りね……。7年ぶり…かしら。」
  雅「貴方は……誰?」

 疑問符を顔に浮かべ、女の子に尋ねる。

  女の子「そうね……私は貴方。貴方は私。」
  雅「……?」

 その言葉にますますわからなくなる雅。

  女の子「都村が言ってた……真紅の瞳をした雅、でわかるかな?」
  雅「え……貴方が?」
  真紅雅「えぇ。」 

 真紅の瞳をした雅は妖しげに笑った。

  真紅雅「ふふっ…。」
  雅「……?」
  真紅雅「貴方、本当に忘れてるのね。…まぁ、いいわ。」

 真紅の瞳をした雅は話を続けた。

  真紅雅「元々…さっきも言った通り、私は貴方だし、貴方は私。ある日を境に、私は貴方と一緒になった。」
  雅「ある日……?」
  真紅雅「今朝の夢、覚えてる?」
  雅「…うぅん。」
  真紅雅「そう…。それじゃ、今朝の事件は知ってるわね。」
  雅「うん。テレビで見たし…あれ、私って現場でひどい頭痛がして倒れたんじゃ…。」

 真紅の瞳をした雅はくすくすと笑った。

  真紅雅「ここは貴方の記憶の中よ。…それで、今朝の事件だけど…あれは過去に起きた事件そのままの事……。あの時、貴方も私も居たわ。そして…都村達が言った通り、宮村臨魅に間違いないわね。」
  雅「………。」
  真紅雅「そして、貴方も彼女とは面識はあるはずよ。」
  雅「え……無いよ…。」
  真紅雅「いいえ、きっとあるはずよ……。あの時、彼女と戦ったのは私でも、貴方はそれを見ていたのだから……。」
  雅「私……が…?」
  真紅雅「えぇ。貴方はただ……怯えてたの。私は彼女に立ち向かった……。」

 真紅の瞳をした雅は俯いた。

  真紅雅「結果は……わかるでしょう。」
  雅「両方とも…死ななかったのね。」
  真紅雅「えぇ…。その代わり……私と彼女は動けなくなり…」
  雅「私と、彼女の片割れが動けるようになった、と……」

 真紅の瞳をした雅はこくりと頷く。

  真紅雅「そろそろ…時間ね。」
  雅「…何の?」
  真紅雅「貴方が目を覚ます時間。……それと、宮村と対峙する、ね。」
  雅「私が……」
  真紅雅「えぇ……。」 

 それっきり、真紅の瞳をした雅は霞んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  浜崎「おい、しっかりしろ。」
  雅「んっ……。」

 目が覚めると、浜崎君と都村さんの顔があった。

  都村「急に倒れて……。」

 雅は立ち上がった。

  雅「ごめん……。」
  都村「大事無くてよかった……。」
  雅「もう…私は迷わないよ。真紅の瞳をしたのも私。今の私も私。そして、宮村臨魅と決着を付けないといけないのも私……なんだから。」
  浜崎「紅坂………。」

 その時、辺りに冷たい風が吹いた。風が吹いた方向を見ると、一人の少女が立っていた。陰になって顔は見えないが、長い刀を持ってこちらにゆっくりと歩み寄ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜正体と別れ〜

 

 

  

 

 

 歩み寄ってきた少女の顔が徐々に見えてきた。

  雅「え……そんな……」

 雅達の目の前に居たのは、雅のクラスメートの瑠美だった。

  瑠美「まさかアンタだったとはね……雅。」
  雅「瑠美ちゃん……。」
  瑠美「そこの二人も……殺り損ねたか…なら、一緒に殺ってあげる。」

 瑠美は刀を構えた。雅達も身構える。

  瑠美「……と思ったけど、こいつらに任せるか。」

 瑠美は刀をしまい、背を向け歩き出す。それを追おうとすると、化物の集団が3人を取り囲んだ。

  都村「…数が…多すぎる…。」
  雅「どうする…?」
  浜崎「先に行け。ここはなんとかするから。…それに、俺の能力が一番楽だろ、ここは。」  

 浜崎はナイフを構えた。

  雅「一人で……大丈夫……?」
  浜崎「あぁ。任せろって。」
  都村「貝斗……任せたわ。」
  浜崎「姉貴…紅坂を頼むぜ……終わったら後を追うから。」

 都村と雅は先に瑠美を追いに駆け出した。

  浜崎「ひぃ、ふぅ、みぃ……数えるだけ無駄か……。」

 浜崎は溜息をついた。

  浜崎「……来な、化物。」

 浜崎はナイフを軽く振った。化物が1体、ナイフに刺され消滅した。

  浜崎「今宵の俺の眼は……絶好調だな…。」

 浜崎は笑った。浜崎の眼には、化物と、化物の身体に線が見える。その線は、物の死を表す線。浜崎の手によって、それを消滅させる事が出来る。これが、浜崎の特殊な能力だった。浜崎はナイフを軽く握り替え、

  浜崎「行くぜ、「蝉丸」……」

 浜崎のナイフが大きくなり、刃が両方から出ているダブルセイバーになった。浜崎は化物達に突進し、流れるように蝉丸を振り回す。化物も攻撃を仕掛けるが、それが浜崎に当たる前に、浜崎がその化物を消滅させていった。浜崎の眼にうつる線を蝉丸でなぞるだけで、化物はどんどん崩れ、消滅していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  浜崎「…数……多すぎだろ…。」

 とは言っても、浜崎の眼は一時的な物で長時間はもたない。あと4体と言う所で、浜崎の眼は限界に来ていた。

  浜崎「ほとんど……見えない……。」

 線がほとんど見えなくなっていた。それでも蝉丸を振り回し、3体消滅させた。残るは1体。浜崎は化物にむかって蝉丸を突き刺した。

  浜崎「ぐっ……。」

 突き刺した代わりに、化物からも腹部に致命的なダメージを受けた。化物は消滅し、浜崎はその場に仰向けに倒れる。浜崎の腹部からは、夥しい血が流れていた。

  浜崎「これで……終わりかよ………くそっ…。」

 浜崎は空をじっと見た。紅坂の顔、今までの思い出、姉の都村が走馬灯の如く目の前を駆ける。

  浜崎「……紅坂…姉貴………すまん………先に…行くわ……。」

 少しして、蝉丸が浜崎の手から落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 瑠美を追う二人。

  都村「!?」

 都村は急にその場に立ち止まる。

  雅「どうしたの…?」
  都村「貝斗………。」
  雅「浜崎君が……どうかしたの?」
  都村「……うぅん。なんでもない…急ぎましょう。」

 都村は先に駆け出した。雅も後を追う。

  都村「貝斗……私より先に……いくなんて………。」

 その声は雅には聞こえていなかった。自然と涙がこぼれる都村。涙を雅に悟られないよう拭いつつ、瑠美の後を追った。

 

 少しして、瑠美が神社で立っていた。

  瑠美「……あら、意外に早かったのね。」

 その声と同時に、都村と雅が神社に着いた。

 

 

 

 

 

 

〜激突〜

 

 

 

 

 

 

  

 

 二人の前に、瑠美が立っていた。

  瑠美「あら……男の子はどうしたのかしら?」
  雅「彼なら、下で戦ってるはずよ。」
  瑠美「そう。……なら、もう死んでるんじゃない?」

 くすくす笑う瑠美。それに反応するかのように、都村は「雫」を構えて瑠美に突撃する。瑠美に向かって「雫」を振り下ろす。瑠美は携えていた刀でそれを受けた。金属音が響いて、二人が対峙する。

  瑠美「あら……図星かしら?」
  都村「黙れ……。」

 瑠美は払い、都村と距離を置く。

  瑠美「はぁ……出番だよ、「葬」」

 瑠美がそう言うと、瑠美が持っていた刀が光り始めた。辺りが光に包まれ、光が止んだ時、瑠美は刀を持っていなかった。それを見て、都村は瑠美との距離を再度詰めた。

  瑠美「下手に動くと危ないよ?」

 都村が瑠美に斬りかかろうとした時、何かが「雫」に当たった。それと同時に、都村の頬が切れ、血が垂れた。

  都村「何……」
  瑠美「ほらね。言ったのに。「葬」の範囲内に入っちゃった。」

 くすくす笑う瑠美。都村は辺りを見るが何も無い。が、何かが都村を襲い、都村の身体が所々切れ、血が滴る。

  都村「くっ……」
  瑠美「くすくす…貴方も男の子の後を追うのかな?」
  都村「…黙れ……目覚めよ、「雫」…」

 都村は所々から出ている血を「雫」に吸わせた。血の量が多いのか、以前見た「雫」より禍々しい形になっていた。都村は自分の周りにある何かを斬った。小さい刃が数個、都村の周りに落ちた。

  瑠美「あちゃ…もうバレちゃった。]
  都村「正体は…貴方の周りで刃を高速移動させている…。」
  瑠美「ご名答。それと、数個は貴方の周りで移動させてたんだけど…全部斬られちゃったわね。……しょうがないなぁ、「葬」解除。」

 瑠美は「葬」を解除した。刀は、半分折れていた。

  都村「…それでどう戦うんだ?」
  瑠美「ふふっ……こうするのよ。」
  臨魅「……「神楽」…」

 瑠美がいきなり青瞳の臨魅に変わり、刀が光りだす。大気中の粒子が刀に集まっていき、刀が元の形に修復された。

  都村「な……」
  臨魅「ふん……。」

 臨魅は刀を構え、都村に斬りかかる。刀と刀がぶつかり合う金属音が辺りに響く。

  臨魅「甘い……。」

 無表情のまま、臨魅は刀を都村の「雫」に引っ掛け、「雫」を弾き飛ばした。「雫」は虚しく空を舞い、臨魅の刀は都村の胸を貫いた。

  都村「ぐっ……」
  臨魅「………。」

 臨魅は刀を都村の胸から抜いた。都村はそのまま前のめりに倒れ込む。都村の周囲の地面が徐々に赤くなる。雅は都村に駆け寄ろうとする。が、臨魅が雅を睨み付ける。その鋭い眼光により、雅はその場で足が止まる。

  臨魅「彼女はもう助からん……久し振りだな。」
  雅「何の事…?」
  臨魅「雅……いや、茜。」
  雅「…茜?」
  真紅雅(私の事だ。少し身体を借りるぞ。)
  雅(え…うん。)

 雅の瞳が真紅に染まり、

  茜「久し振りだな、臨魅。」
  臨魅「ふん……貴様は殺す…。」
  茜「面白い、やってみろ。」

 茜は刀を水平に斬った。刀同士がぶつかり合う金属音の後、距離を置いた。

  茜「これじゃあやり辛いな……「鮮」。」

 茜が軽く刀を振ると、「鮮」は刀が居合刀から通常の刀の長さに縮んだ。茜は臨魅との距離を一気に詰め、刀を振る。

  瑠美「ざーんねん。「葬」発動。」

 いつの間にか瑠美になり、「葬」を発動した。瑠美と茜の周囲を高速で刃が飛び交う。茜は刀を振り、自らの周囲の刃を軽く斬りおとした。

  茜「こんなんじゃ止められないよ。」
  瑠美「ちっ…」

 茜が水平に刀を振ると同時に、瑠美は距離を置いた。瑠美の服の腹の辺りが少しだけ切れた。

  臨魅「「神楽」……」
  茜「これじゃあ何時まで経っても終わらないんじゃない?」
  臨魅「ふん……どうかな。」

 臨魅は刀を修復し終えると、そのまま刀を水平に振った。風圧で、茜の頬が切れた。

  茜「……ちっ。」
  臨魅「……油断したな。」

 茜は頬から出た血を手に取り、舐めた。

  茜「ふふっ……」

 茜は「鮮」を解除し、水平に居合い斬りをした。臨魅も同じ動作をし、二人の中心で空気の渦ができた。お互いの空圧がぶつかりあい、相殺された結果だった。

  茜「なっ……」
  臨魅「……弱くなったな、茜。」

 臨魅は何時の間にか茜の真後ろに立っていた。そのまま後ろから刀を振り下ろす臨魅。

  

 

 

 

 

〜決着・そして…〜

 

 

 

  

  臨魅「ぐっ…」

 臨魅が刀を振り下ろし茜を斬る前に、臨魅の背中には「雫」が刺さっていた。

  臨魅「な……に…」
  都村「甘いのは貴方のようね……」

 都村はよろよろと立ち上がった。臨魅は膝をついた。

  茜「形勢逆転、だな。」
  臨魅「ちっ……」

 茜は臨魅の刀を遠くへ飛ばした。そして刀を臨魅の額に添えた。

  茜「言い残す事はあるか?」
  臨魅「お前に勝ちたかったな。一度で良いから」
  茜「そうか……お前との戦い、楽しかった。……じゃぁな、臨魅」
  臨魅「あぁ……私も楽しかった…。」
  瑠美「バイバイ、雅。」
  雅「瑠美……」 

 茜は臨魅の額を突いた。刀を抜き、額から血が滴る。それと同時に、茜も雅も涙が出てきた。今までの記憶、臨魅との、瑠美との記憶を思い出し………。

 

 

 

 

 

 

 

 記憶の中で二人は話す。

  雅「他の方法……無かったのかな……」
  茜「まだ終わってない…」
  雅「え…?」
  茜「雅、この身体は二つの意思が一緒だといけないんだ。だから……」
  雅「だから?」
  茜「死んでもらおうか。」

 冷酷に言ったその一言。雅は思わず後ずさりした。

  雅「え……そんな…」
  茜「さぁ、刀を取れ。」

 記憶の中なのに、雅の手には「楓」、茜の手には「鮮」があった。

  茜「同じ長さに調整する…「鮮」……」

 茜は雅の刀「楓」と全く同じ長さに調整した。

  茜「雅……君との生活は楽しかった……あんなにも楽しいなんて思わなかった。」
  雅「……」
  茜「あわよくば、私はあの生活を手にしたいのだ。」
  雅「そうはさせないよ……この身体はあくまでも私の。貴方は意思しか持ち合わせていないのだから。」

 空気がぴーんと張り、静寂が長く続く。そして、雌雄を決する時はやってきた。茜と雅は同時に刀を抜いた。双方の刀には、血が滴っていた。

  雅「うっ……」

 雅は、左腕を斬られ……

  茜「なっ…」

 茜は右腕を切断された。刀と腕がぼとりと落ち、血が勢い良く出ていく。茜はその場にしゃがみ込んだ。

  茜「駄目か……」
  雅「……うん。」

 雅は少しずつ茜に近づく。

  茜「長い間だけど……貴方の中に居れてよかったと思う…」
  雅「茜……」
  茜「さぁ……止めを刺して…」
  雅「そんな…私には……」

 雅は首を横に振る。

  茜「そうだね……貴方にはこういうのは向いてはいないわね。」

 茜は「鮮」を左手で取り、

  茜「それじゃ、雅……忘れないでね、私の事を。」

 自分の胸を貫いた。そして、刀と茜の身体と意思は雅の身体から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

  都村「紅坂さん?」
  雅「…茜……」

 雅は涙を流していた。都村は再度呼びかける。

  都村「どうしたの…?」
  雅「うぅん、なんでもない……。ただ、皆一緒に居れなかったのかな、って……」
  都村「そうね……」
  雅「茜も、瑠美も、臨魅も……皆一緒だったら、仲良くなったと思うのに……」

 雅の目から涙が落ち、刀に付く。その後も何回も涙は刀に落ちた。その時、雅の刀「楓」が光り始めた。

  雅「わわっ…何…」

 暫らくして、光が止んだ。目の前には、都村の他に、いつの間にか4人立っていた。どれもこれも見た事のある顔だった。

  雅「みんな……」

 一人は浜崎。一人は瑠美。一人は青眼を持つ物。そして……

  雅「茜……」

 雅と同じ身体に居た意思、茜だった。

  茜「どうして……」
  瑠美「雅……」
  臨魅「「楓」の能力ね……」
  浜崎「姉貴!」
  都村「貝斗……」

 浜崎と都村は抱き合った。お互い涙して。

  都村「よかった……生きてて……」
  浜崎「死んだんだけどな……生き返ったみたい…」
  雅「あ、「楓」が……」

 「楓」が少しずつ消えていく。他の皆の刀も同様だった。全員持っていた刀が消えた。

  雅「もう…不要なんだね…きっと」
  茜「あぁ…そうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

〜その後…〜

 

 

 

 

 

 

  雅「ほら、起きろー。」

 雅は茜を叩き起こす。

  茜「眠いって……」
  雅「そんな事言ってると、また遅刻するよ。」
  茜「あぁ…わかったよ…」

 その後、何事も無かったかのように雅と茜は身体は別だが一緒だった。戸籍もいつの間にか姉妹になっていた。両親も、姉妹と認識していた。

  雅「みんなの記憶……変わってたね。」
  茜「……「楓」の影響かもね。ほら、化け物になって死んでもすぐ消えちゃうから。存在までも消えるんじゃない。」
  雅「そっか……って、遅刻しちゃう。」

 いつも通り、時間ぎりぎりに家を出る二人。

 

 それでもなんとか滑り込み学校に間に合った。

  都村「今日も元気ね。」
  浜崎「よっ。相変わらず苦労してんな。」
  雅「…はぁ…はぁ……うん…」
  瑠美「おはよ、雅。」
  雅「あ、おはよぉ。」

 瑠美が雅を見つけやってきた。

  瑠美「今日、授業つまんないよねー。」
  雅「えーと……うん、そうだね…」

 他愛も無い会話をしていると、茜は席に座った。

  臨魅「おはよう。」

 いきなり真後ろから声がして、少し驚く茜。

  茜「あぁ、おはよう。いきなり後ろからなんて」
  臨魅「ふふっ…そうね。」

 臨魅も、瑠美の姉妹として戸籍がなっていた。他のクラスメートは臨魅も茜も最初から居た記憶になっていた。でも、各々はあの戦いの記憶も持っていた。

  臨魅「勝負よ、茜。」
  茜「ふっ、望む所…」

 あの二人はお互いに勝負事をよくしているし、瑠美と私は仲良く話してるし、浜崎君と都村さんは……えーと…。まぁ、いいや。

  雅「今が楽しければ良いや。」
  瑠美「え、何か言った?」
  雅「ううん、なんでもない〜。」

 本当、今が楽しければ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、6人のベッドの上に、刀が置いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<後書>
というわけで「Face up to Unrealistic World〜非現実な世界を直視せよ〜」をお送り致しました。
戦闘シーン満載でお送りしようと思ってましたが、思ったより少なかったのに反省。
非現実的ですよね。人が生き返ったりとか。というかありえない
さて、所々グロ表現(特に序盤)ありましたね。ちょっとこういう系書きたかったんで。
では、これにて「Face up to Unrealistic World〜非現実な世界を直視せよ〜」を終わりとさせて戴きます。
最後まで読んで頂き有難うございました。


2005/11/3(木) 12:58 完

  

 

 

 

 

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